逆流性食道炎 ピロリ菌と除菌 B型肝炎 C型肝炎 潰瘍性大腸炎


逆流性食道炎

食後や就寝中の胸焼け、胃もたれ感、ゲップなど、上腹部の不快感に悩まされていませんか?
それらの症状は、食道へ胃酸が逆流するのが原因で起こる症状です。これを『逆流性食道炎』といいます。
逆流性食道炎は50歳代以降の人がかかりやすい病気ですが、最近は食生活の変化などから若い患者さんも増えています。
太った人や腰の曲がった人に多く見られます。

食道と胃のつなぎ目には、輪っかのような筋肉(下部食道括約筋)があり、胃の内容物が食道へ逆流するのを防いでいます。
その筋肉が加齢や肥満、飲酒・喫煙などによりうまく働かなくなると、胃酸が食道へ逆流し、下部食道に炎症を起こします。

逆流性食道炎には、生活習慣の改善が最も重要です。
●食後2時間は横にならない:横になると、重力的に胃酸が逆流しやすくなります。
●暴飲暴食を避ける:食べ過ぎると胃内の圧力が上がり、逆流しやすくなります。
●飲酒・喫煙を控える:飲酒・喫煙は下部食道括約筋をゆるめます。
●食事に気をつける:コーヒー、炭酸飲料、脂肪の多い食事、柑橘類、甘いものなどは控えめに。
●お腹を強く締め付けない:ベルトやコルセットは緩めに。
●なるべく腰を伸ばして:前屈みの姿勢は胃を圧迫して逆流を引き起こします。農作業や草取りは満腹の時にしないこと。

逆流性食道炎はとても良く効く薬がありますので、お気軽にご相談ください。
食道癌や胃癌でも同じような症状が出ることがありますので、まずは内視鏡検査をお勧めします。

ピロリ菌と除菌

ピロリ菌は胃の粘膜に住んでいる細菌で、胃潰瘍や胃癌の原因になります。
ピロリ菌は乳幼児期に経口感染すると考えられており、上下水道など衛生環境の改善に伴い、若い世代の感染率は年々低くなってきています。
感染率は10~30歳代で約20%、40歳代で約40%、50歳代で約60%、60歳以上では80%以上と報告されています。
また、免疫力のある成人には慢性感染せず、一度除菌が成功すると再感染はまず起こらないと言われています。

最近の研究では、胃癌の99%がピロリ菌の影響であると報告されており、既に感染している人でも除菌すると胃癌の発生率を大きく減らすことが明らかになりました。ピロリ菌感染のある方は、胃癌や胃潰瘍の予防のために、除菌療法を強くお勧めします。
現在の保健医療では、ピロリ菌の除菌治療には内視鏡検査を受けることが必須となっております。ピロリ菌に感染している方は、胃癌のハイリスクであり、どちらにせよ定期的に内視鏡検査を受けられたほうが良いと思います。
ピロリ菌の除菌療法は3剤の薬を1日2回、7日間内服します。以前は除菌成功率7割程度でしたが、2015年2月に発売された新薬を使用することにより、9割を超える高い成功率が得られるようになりました。

除菌療法の副作用は、軟便・下痢、味覚異常などがありますが、自己判断で中止したりせず、内服を続けてください。まれに発疹・かゆみ、強い腹痛・血便が出ることがありますが、そのような場合は服用を中止して、ご相談ください。
また、除菌後に胃が元気になるため、胃酸の分泌が多くなり、逆流性食道炎の症状が出ることがあります。

過去に慢性胃炎やピロリ菌感染と言われたことがある方、胃癌が心配な方、胃潰瘍の既往のある方、癌家系の方など、お気軽にご相談ください。

B型肝炎

肝炎を起こすウイルスには、現在のところA.B.C.D.E.Gの6種類がわかっていますが、慢性肝炎や肝硬変、肝臓癌を引き起こすのは、ほとんどがB型とC型です。

B型感染ウイルスに持続的に感染し、ウイルスを持ち続けている人を『キャリア』といいます。
キャリアといっても多くの人は一過性の炎症を起こしたあとにウイルスと平和共存していきますが、一割くらいの方は慢性肝炎へと移行していきます。平和共存している方でも、知らないうちに肝炎になっていたり発癌することがあるので注意が必要です。
昔は、キャリアの大半は乳幼児期の母子感染でしたが、1986年以降はワクチンなどの母子感染防止策によって、ほとんど防ぐことができています。現在では性交渉と覚醒剤など注射の回し打ちによる感染が問題となっています。

B型肝炎ウイルスを完全に排除することは難しいため、B型慢性肝炎の治療は1.肝機能を正常化し肝炎を鎮静すること 2.肝硬変への進行を抑制すること 3.発癌率を抑え、仮に癌になっても早期発見・早期治療をすること が目標となります。
治療法は注射薬(インターフェロン)と内服薬(バラクルードなど)があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
ウイルスのタイプやウイルス量、患者様の年齢などによって治療法は違い、標準治療法は毎年のように変わっていますので、まずは病態の把握のために診察と採血を受けられることをお勧めします。

B型感染ウイルスは血液や体液を通して感染しますので、自分の血液や分泌物が他の人につかないように注意してください。
ただし、ごく常識的な衛生マナーをまもり、普通の日常生活をしている限りB型感染ウイルスをうつす心配はありませんので、あまり神経質になることはありません。以下のことに気をつけてください。
●献血はしない
●自分の血液が他人に触れないようにする:カミソリや歯ブラシを共有しない
●子供に口移しをしない:キスではうつりませんが、歯槽膿漏や口内炎などの傷があると危険です
●結婚相手などパートナーにはワクチン接種をする
●他の病気で病院や歯科に行った時は医師にB型肝炎であることを告げる

B型肝炎は特定医療機関で専門医が治療する場合、医療費の補助が受けられます。もちろん当院でも可能です。
肝硬変や肝臓癌を予防するため、症状がないからといって放置せず、一度受診していただけると幸いです。

C型肝炎

C型肝炎ウイルスに感染すると、30%の人は一過性の炎症を起こし治癒しますが、70%の人は慢性肝炎になります。
C型慢性肝炎は、ほとんどの場合無症状ですが、放置しておくと肝臓にダメージが蓄積して、20~30年ほどの経過で肝硬変、肝癌に進展することがあります。

C型肝炎ウイルスはB型肝炎ウイルスと同様に血液を介して感染します。輸血や刺青、覚せい剤の回し打ち、ピアスの穴あけなどが主な原因となります。

C型肝炎ウイルスは、B型肝炎ウイルスと異なり、適切な治療によりウイルスを排除できる可能性が高くなっております。
1992年にインターフェロン単独療法が承認された時は治癒率が8%程度とかなり低値でしたが、医療の進歩に伴い治癒率は上昇し、現在は80%程度まで上昇してきました。また、近い将来、発売が予定されている新薬では97%の治癒率が見込めるとの報告もあります。
また、以前は辛い副作用と闘いながらの治療でしたが、最近の薬は、非常に副作用が少なくなりました。

現在の治療の問題点は、一度治療失敗してウイルス耐性が出来てしまうと、今後発売予定の新薬も効かなくなってしまう恐れがあることです。
そのため、やみくもに治療するのではなく、治療前にウイルスの遺伝子型や量を測定して治療効果を予測し、確率の低い場合はあせらずに新薬を待つという選択も必要となってきます。

C型肝炎もB型肝炎と同様、特定医療機関で専門医が治療する場合、医療費の補助が受けられます。
C型肝炎と診断されたことがある方は、まずは採血や超音波検査などで状態を把握し、適応があればウイルスを排除する治療を受けられることをお勧めします。

潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎とは、大腸の粘膜に慢性の炎症や潰瘍ができる原因不明の疾患で、主な症状は、慢性下痢、腹痛、粘血便などが挙げられます。
わが国での患者数は一年あたり一万人程度の割合で急速に増加しており、2015年のデータでは日本に16万人と報告されています。当院でも十数人の患者様が通院されております。
発症時の年齢は15~35歳の若者に多いですが、小児や高齢者に発症することもあります。

潰瘍性大腸炎は完全に治癒することはなく、寛解という無症状の状態を維持することが治療の中心です。
重症度は人により様々で、内服薬のみで長期に寛解が得られている方もいれば、炎症を繰り返し、免疫抑制剤や手術が必要となる方もみえます。

日常生活で気をつけることは、薬を忘れずに飲むこと、規則正しい生活をすること、なるべくストレスを抱え込まないこと、食事に気をつけることです。食事については寛解期にはあまり神経質になることはありませんが、アルコールや乳製品、脂っこいもの、強い香辛料などは腸を刺激して病状が悪化することがあるのでなるべく控えて下さい。

長期に寛解が続いている患者様の中には、ついつい内服を怠りがちになってしまう方がみえます。私の担当した患者様にも、薬をサボったせいで、下痢や血便が止まらなくなって入院加療が必要となった方が何人もみえます。
薬は自覚症状だけでなく、内視鏡での粘膜所見、罹患部位、内視鏡時に採取した組織の顕微鏡所見などを複合的に判断して調節しております。自己判断で勝手に減量したり中断したりせず、変更の希望などありましたら御相談いただけると幸いです。